胆石・胆のうポリープ。エコーで見つかったとき
健診や人間ドックの腹部超音波(エコー)検査で「胆石があります」「胆のうにポリープがあります」と言われ、驚いて来院される方は少なくありません。どちらも症状がないうちに見つかることが多く、その場合はすぐ手術という話になるわけではありません。ここでは、日本消化器病学会の胆石症診療ガイドライン2021などの公表資料にもとづいて、見つかったあとの考え方を整理します。
まず結論:見つかっても、すぐ手術とは限りません
胆石症診療ガイドライン2021では、無症状の胆のう結石症について「無症状の胆囊結石症に対して,胆囊摘出術は経過観察よりも推奨されない」とされています(推奨の強さ:弱(推奨なし)、合意率71%、エビデンスレベルB)。症状がない胆のう結石では、経過観察が選ばれることが多いという整理です。
- 症状のない胆のう結石は、定期的に確認しながら様子をみる方針がとられることがあります
- 胆のうポリープは、大きさと形によって方針が変わります
- 痛み・発熱・黄疸が出たときは別です。様子を見ずにご相談ください
胆石はどこにできるか
胆石は、肝臓でつくられた胆汁の通り道にできる石で、できる場所によって呼び分けます。胆のうの中にできるものが胆のう結石、胆のうから十二指腸へ向かう管にできるものが胆管結石(総胆管結石)、肝臓の中の細い胆管にできるものが肝内結石です。
ガイドラインに引用された2013年の全国調査では、胆のう結石が74.5%、総胆管結石が25.6%、肝内結石が3.7%と報告されています。石の成分では、コレステロール胆石と色素胆石に大きく分けられます。
症状がない胆石で経過観察が選ばれる理由
ガイドラインでは、胆のう結石について「約70%の患者は無症状で発見され、平均8.7年間の経過観察中に有症状化したのはそのうち約20%」、また「年1〜2%の患者が重篤な症状を発症する」と整理されています。
また、ガイドラインでは「胆囊結石が胆囊癌の危険因子であるとする明らかなエビデンスはない」とされています。石があるからがんになる、と受け取って強く不安になる必要はありません。
一方で、放っておいてよいという意味ではありません。日本臨床外科学会は、無症状であれば通常は治療の必要がないことがほとんどとしたうえで、一年に一度は定期的に検査して経過観察することを勧めています。確認の間隔は石の大きさや胆のうの壁の状態によって変わりますので、診察でご相談ください。
様子を見ずにご相談いただきたい症状
症状が出たときの対応は、経過観察とは分けて考えます。次のような症状があるときは、市販薬で様子を見ずにご相談ください。
当てはまる場合は早めにご相談ください
胆石による症状/上腹部の痛み、胸やけ、右の肋骨のあたりの痛み、発熱、吐き気・嘔吐、黄疸(日本臨床外科学会)
急性胆のう炎・急性胆管炎/強い腹痛と発熱が起こります。重症化すると敗血症やショック状態になることもあります。急性胆管炎で知られるCharcot3徴は右上腹部痛・発熱・黄疸ですが、ガイドラインでは「発熱や腹痛は80%以上にみられるのに対して,黄疸は60〜70%に認める程度」、3徴がそろうのは26.4〜72%で感度は低いとされています。3つそろわなくても否定はできません。
胆石性膵炎/胆石が原因で膵炎を起こす方もいます。強い腹痛が続くときは受診が必要です。
黄疸のサイン/皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が茶色っぽく濃くなる、便の色が白っぽくなる(国立がん研究センター)。これらは胆汁の流れが妨げられているときにみられることがあります。
胆のうポリープは、大きさと形で方針が変わる
日本消化器病学会雑誌の総説では、胆のうポリープは「胆嚢内腔に隆起する20 mm程度までの病変の総称」とされ、多くは治療の必要がないコレステロールポリープである一方、がんや腺腫も含まれるため見分けが必要と説明されています。
日本消化器病学会の患者向けQ&Aでは「10mm を超える胆のうポリープは悪性の可能性があることが知られています」と記載され、同時に、大きさだけで判断できるものではなく、有茎性か無茎性かという形も同じくらい大切だとされています。
同学会雑誌の総説では、方針の目安が次のように整理されています。
| 所見 | 総説での整理 |
|---|---|
| 10mm以上・広基性・充実性低エコー | 癌・腺腫の可能性が高く、胆のう摘出術が推奨されるとされています |
| 増大傾向を認めるもの | 癌・腺腫の可能性があり、経過観察も重要とされています |
| 初めて見つかった10mm以下 | 初回は慎重に3〜6カ月後の経過観察とし、数年間変化がなければ1〜2年ごととすることが望ましいとされています |
画像だけで確定させることは難しいため、大きさ、形、エコーの見え方、時間をおいた変化を合わせて判断します。健診の結果票をお持ちいただくと比較がしやすくなります。
どんな検査で調べるか
胆石症診療ガイドライン2021の診療フローチャートでは、最初のステップとして病歴の聴取、身体所見、血液・生化学検査、そして腹部超音波検査(US)が挙げられています。必要に応じてCTやMRI、超音波内視鏡検査などを組み合わせます。
内視鏡検査で見るのは消化管の粘膜で、胆のうや胆管は超音波検査などで確認します。当院で行っている検査は検査・設備のページ、健診の結果でのご相談は健康診断のページでご案内しています。
当院でのご相談・検査
当院では超音波検査を院内で実施しており、日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医である院長が診察を担当します。健診で指摘された方のご相談を承っています。消化器の検査については胃腸科・内視鏡のページもご覧ください。
診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。肝臓の数値の指摘を受けた方は脂肪肝。お酒を飲まない人にも起こる肝臓の変化もあわせてご覧ください。
参考文献
- 日本消化器病学会「胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/tanseki_2021.pdf - 日本消化器病学会 健康情報誌「消化器のひろば」No.20-8「胆のうポリープは手術が必要ですか?」
https://www.jsge.or.jp/citizens/hiroba/hiroba20/hiroba20_08/ - 有坂好史ほか「胆嚢ポリープの診断と取扱い」日本消化器病学会雑誌 112巻3号(2015年)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/112/3/112_444/_article/-char/ja/ - 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン「第V章 急性胆管炎の診断基準と重症度判定基準・搬送基準」(Mindsガイドラインライブラリ)
https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00188_chapter5.pdf - 日本臨床外科学会「胆石症(一般の方へ)2.胆石症の症状とは/3.胆石が見つかった時にすること」
https://www.ringe.jp/civic/20190823/p02 - 国立がん研究センター がん情報サービス「胆道がん(胆管がん・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)について」
https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/about.html
いずれも本記事執筆時点で公表されている内容にもとづいています。ガイドラインや制度は改訂されることがありますので、最新の情報は各機関の公表資料でご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療の代わりになるものではなく、個々の症状・体質・服用中のお薬による判断は診察が必要です。気になる点があれば、記事の内容だけでご自身の状態を判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。消化器の検査については胃腸科・内視鏡のページ、健診の結果でご相談の場合は健康診断のページもあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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