かぜとインフルエンザ、新型コロナはどう違うか
のどが痛い、熱が出た、咳が続く。冬に多いこうした症状は、かぜ(普通感冒)でも、インフルエンザでも、新型コロナウイルス感染症でも起こります。症状は重なる部分が多く、迷う方が少なくありません。ここでは公的機関の資料にもとづいて違いを整理します。
まず結論:症状だけで見分けるのは難しい
先に押さえておきたいのは、症状の見た目だけで原因を言い当てることはできないという点です。傾向の違いはありますが、重なりも大きいためです。原因を確かめる必要があるかどうかは、症状の強さ、持病、周囲の流行状況などをふまえて判断します。
- 熱が出た時刻と最高体温を記録しておきます
- 周囲に同じ症状の方がいるかを確認します
「急性呼吸器感染症(ARI)」というまとめ方
厚生労働省の「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」では、ARIを「急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎)又は下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称」と説明しています。
病名ごとに構えるより、呼吸器の感染症として共通の備え(手洗い、換気、休養、必要なワクチン)を続けることが役に立ちます。
かぜとインフルエンザの違い
厚生労働省の「令和6年度インフルエンザQ&A」では、両者の違いが次のように説明されています。普通のかぜは「のどの痛み、鼻水、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません」。一方インフルエンザは「38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です」。
インフルエンザの潜伏期間と症状の出方
国立健康危機管理研究機構の解説では、インフルエンザは「感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間の後に」発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然あらわれ、咳や鼻汁といった上気道炎症状がこれに続くとされています。国内の流行は「毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1〜3月頃に患者数が増加し、4〜5月にかけて減少」する傾向が示されています。
合併症として、高齢者や慢性疾患をお持ちの方では呼吸器の二次的な細菌感染が起こりやすく、小児では中耳炎や熱性けいれんの合併が挙げられています。
新型コロナウイルス感染症の症状と潜伏期間
国立健康危機管理研究機構の解説では、新型コロナウイルス感染症の潜伏期は「1から14日(平均5から6日)間」とされ、発症前から感染性があると説明されています。症状は「発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害、下痢など多様」で、多くは軽症ですが、高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は重症化しやすいとされています。感染経路は主にエアロゾル感染、飛沫感染、接触感染です。
なお、潜伏期間や症状の傾向は、流行しているウイルスの性質によって変わりうるものです。感染症法上の位置づけや療養に関する取り扱いも見直されてきました。ここでは症状と検査の一般的な情報にとどめ、そのときの制度は厚生労働省や自治体の案内でご確認ください。
| 項目 | かぜ(普通感冒) | インフルエンザ | 新型コロナウイルス感染症 |
|---|---|---|---|
| 潜伏期間 | 数日程度とされる | 1〜3日ほど | 1〜14日(平均5〜6日) |
| 症状の出方 | のど・鼻の症状が中心 | 高熱や全身症状が比較的急速 | 多様で、軽症から重症まで幅がある |
| 発熱 | インフルエンザほど高くない | 通常38℃以上 | あることが多いが一定しない |
| 特徴的な症状 | くしゃみ、鼻水、咳 | 頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感 | 味覚・嗅覚障害、下痢がみられることがある |
検査でわかること、わからないこと
インフルエンザについては、外来やベッドサイドで20〜30分以内に結果が出る抗原検出キットが用いられています。新型コロナウイルス感染症の診断は、ウイルス遺伝子の検出(PCR検査など)および抗原の検出によるとされています。
ただし検査には限界があります。発症からの時間が短いと、感染していても陰性と出ることがあります。反対に、症状が典型的であれば検査をせずに診断することもあります。検査の結果だけでなく、症状の経過とあわせて判断することが基本です。
治療と、家庭での過ごし方
かぜに対しては、症状をやわらげる対応が中心になります。インフルエンザには抗インフルエンザウイルス薬があり、厚生労働省のQ&Aでは効果が期待できるタイミングとして「発症から48時間以内」に触れられています。使うかどうかは年齢や持病、症状の程度によって判断します。
家庭では、水分をこまめにとり、休養をとることが基本です。ARIのQ&Aでも、手洗い、うがい、マスクの着用、換気、十分な休養とバランスのよい栄養、ワクチン接種が有効とされています。
学校を休む期間については、学校保健安全法で出席停止期間が定められています。同Q&Aでは、インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」、新型コロナウイルス感染症は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」と示されています。制度改正により変更される場合があります。最新の情報は厚生労働省および学校・園の案内でご確認ください。職場の取り扱いは勤務先の規定に従ってください。
当院での対応と予防
当院は感冒等の急性疾患に対応しており、迅速診断検査を備えています。呼吸が苦しい、水分がとれない、意識がはっきりしない、けいれんがあるといった場合は、時間を置かずにご連絡ください。
予防としては、予防接種のページで各種ワクチンについてご案内しています。慢性の呼吸器疾患をお持ちの方は感染症で悪化しやすいため、内科での日ごろの管理も予防につながります。診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。
参考文献
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html - 厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2024.html - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「インフルエンザ(詳細版)」
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/influenza/detail/index.html - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「新型コロナウイルス感染症」
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/covid-19/
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものであり、診断や治療の代わりになるものではありません。症状の受け止め方や必要な検査は、年齢・持病・服用中の薬によって一人ひとり異なります。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。予防接種の時期についてはインフルエンザ予防接種、受けるベストな時期はいつ?もあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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