花粉症。症状が出る前からの対策
毎年同じ時期になると、くしゃみと鼻水が止まらない、目がかゆくてつらい。花粉症は「つらくなってから薬を買う」という対処になりがちですが、花粉が飛び始める前から手を打っておいたほうが、シーズン中を楽に過ごしやすくなります。ここでは飛散時期の目安と、症状が出る前からできることを整理します。
まず結論:飛び始める前に始める「初期療法」
花粉症の治療には「初期療法」という考え方があります。環境省の『花粉症環境保健マニュアル2022』では、初期療法を「花粉の飛散開始前または症状の極軽い時から薬物を予防的に服用することで、症状の発現を遅らせたり、症状を軽くしたりする方法」と説明しています。
『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版』に基づく解説では、花粉の飛散開始の2週間ほど前から投与を始める方法が一般的であり、症状が出てから服用し始めるより効果が高いことがわかっているとされています。
- 前のシーズンに症状が強かった方は、飛散が始まる前の受診を検討する
- 毎年決まった時期に症状が出る方は、その時期から逆算して準備する
- 市販薬で抑えきれなかった方、鼻づまりで眠れなかった方は早めにご相談ください
関東で花粉が飛ぶ時期の目安
『花粉症環境保健マニュアル2022』の花粉カレンダーでは、関東地方の花粉の飛散時期は次のように示されています。茨城県を含む関東の一般的な目安です。
| 花粉の種類 | 関東での飛散時期の目安 |
|---|---|
| スギ | 2月下旬 〜 4月上旬ごろ |
| ヒノキ科(ヒノキ・スギ以外の針葉樹) | 3月下旬 〜 5月上旬ごろ |
スギとヒノキ科は飛散時期が一部重なるため、両方に反応する方は春の症状が長引くことがあります。なお同マニュアルでは、スギ花粉症の有病率は2019年の調査で38.8%、ほぼ3人に1人と推定されると報告されています。
花粉症の症状と、かぜとの違い
花粉症の代表的な症状は、くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまり、目のかゆみや涙です。かぜとの違いとしては、次のような点が参考になります。
- 発熱を伴わないことが多い
- 鼻水が透明で水っぽい(かぜでは日がたつと粘り気が出ることがあります)
- 毎年ほぼ同じ時期に始まり、屋外や風の強い日に強くなる
- 目のかゆみを伴いやすい
見分けが難しいこともあります
発熱が続く、のどの強い痛みがある、鼻水の色が変わって長引く、片側だけ鼻づまりが強いといった場合は、花粉症以外の病気も考えます。症状が例年と違うと感じたときは、自己判断で市販薬を続けず一度ご相談ください。急な発熱を伴う症状については内科のページでもご案内しています。
症状が出る前からできること
治療は、原因となる花粉を避けること(抗原除去・回避)と、薬による治療を組み合わせて進めるのが基本です。
薬による初期療法
『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版』に基づく解説では、くしゃみ・鼻水が強い場合は抗ヒスタミン薬、鼻づまりが症状の主体である場合は鼻噴霧用ステロイド薬がよい適応とされています。目の症状には点眼薬を併用します。どの薬をどう組み合わせるかは、症状の内容と生活の状況によって変わります。
抗ヒスタミン薬には眠気が出るものがあり、車の運転や仕事内容によって選び方が変わります。市販薬を使っている方は、成分がわかるように箱やお薬手帳をお持ちいただくと、重複を避けてご案内できます。効き方が物足りないときも、自己判断で量を増やさずご相談ください。
花粉を避ける工夫
『花粉症環境保健マニュアル2022』では、日常でできる工夫として次のような点が挙げられています。
- マスク/顔にフィットし、息がしやすいものを選びます。衛生面からは毎日交換する使い捨てのものが推奨されています。
- 換気のしかた/窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで、屋内へ入ってくる花粉をおよそ4分の1に減らすことができるとされています。
- 洗顔・鼻の洗浄/生理食塩水を用いる場合、鼻は体温程度に温めて、目は少し冷やして使うとよいとされています。
- 帰宅時に上着や髪についた花粉を落とす、飛散の多い日は洗濯物の外干しを控えるなども有効です。
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)という選択肢
アレルゲン免疫療法は、原因となるアレルゲンを少量ずつ体に取り入れ、体の反応の仕組みそのものに働きかける治療です。スギ花粉症では、舌の下に薬を置く舌下免疫療法が2014年から行われています。
政府広報オンラインの解説では、舌下免疫療法・皮下免疫療法いずれも3年以上の継続が推奨されるとされており、舌下免疫療法は自宅で服用できる一方、毎日の服用が必要で、服用前後2時間は激しい運動や入浴、飲酒を避ける必要があると説明されています。
また、花粉が飛んでいる時期には開始できません。効果や適応には個人差があり、すべての方に行える治療ではありません。当院での実施の可否は次のとおりです。
受診の目安と当院での対応
次のような場合は、一度ご相談いただくことをおすすめします。
- 市販薬を使っても症状が抑えられない、効き方が弱くなってきた
- 鼻づまりで眠れない、日中の集中力が落ちている
- 目のかゆみが強く、こすってしまう
- 毎年症状が重く、来シーズンに向けて準備したい
- ぜんそくなど他のアレルギーの病気で治療中である
当院は内科・小児科・胃腸科を診療する地域のかかりつけ医です。生活習慣病などでお通いの方は、受診の際にあわせてご相談いただけます。診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。詳しくは内科のページ、健康診断のページ、初めての方へをご覧ください。
参考文献
- 環境省『花粉症環境保健マニュアル2022』
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf - 環境省 花粉情報サイト
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/ - 政府広報オンライン「政府の花粉症対策」
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/kafunnsyou/ - 日本アレルギー学会・日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(第10版)』に基づく解説(ラジオNIKKEI 薬学の時間・2025年5月1日放送資料)
https://www.radionikkei.jp/yakugaku/docs/yakugaku-250501.pdf
本文中の数値・分類は、上記の公表資料および学会ガイドラインに基づいて記載しています。ガイドラインおよび制度は改訂されます。最新の情報は各出典元でご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療方針は、症状の内容やこれまでの病歴、服用中のお薬によって一人ひとり異なります。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。季節の感染症との見分けについては帯状疱疹。痛みと皮疹、早期受診が大切な理由やインフルエンザ予防接種、受けるベストな時期はいつ?もあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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