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消化器・胃腸

ピロリ菌と胃がん。検査と除菌の考え方

公開日: 更新日: 監修:院長 杉浦 敏昭
呼気を採取する検査キットと問診票/手元のみ・清潔感のある診察室
写真はイメージです。実装時は具体的な alt テキストを付与します。

健診や内視鏡検査のあとで「ピロリ菌がいるかもしれません」と言われ、戸惑われる方は少なくありません。ヘリコバクター・ピロリは胃の粘膜に感染する細菌で、胃がんとの関連が知られています。一方で、感染していても自覚症状がないことが多く、検査を受けなければ気づきにくいという特徴があります。ここでは、感染を調べる検査の種類、除菌治療の進め方、そして除菌が成功したあとに何をするのかを、学会と公的機関の情報にもとづいて整理します。

まず結論:一度は感染の有無を確かめておく

国立がん研究センターは、胃がんの発生要因としてヘリコバクター・ピロリ菌の感染を挙げ、ピロリ菌の除菌によって確実に発生リスクが低下するとしています。ただし同時に、除菌しても胃がんになる可能性がゼロにはならないとも述べています。除菌はリスクを下げるための手立てであり、その後の確認を不要にするものではありません。

そこで、次の3段階で考えると整理しやすくなります。

  • まず、感染しているかどうかを一度確かめる
  • 感染があれば、除菌治療を行うかどうかを相談する
  • 除菌が成功しても、定期的な胃内視鏡検査を続ける

ピロリ菌と胃がんの関係

ヘリコバクター・ピロリは、胃酸のある環境でも生き延びられる細菌です。感染が長く続くと胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、粘膜が薄くなる変化(萎縮)につながることがあります。慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍との関連も知られています。胃内視鏡検査でどのような病気がわかるのかは、胃腸科・内視鏡のページでもご案内しています。

なお、胃がんの要因は感染だけではありません。国立がん研究センターは、喫煙、食塩・高塩分食品の摂取、飲酒も危険因子として挙げています。除菌を検討するのと並行して、禁煙や塩分の摂りすぎを控えることも予防の一部として考えられます。

感染を調べる検査の種類

日本ヘリコバクター学会は、感染の有無を調べる方法として次のものを挙げています。目的(初回の診断なのか、除菌後の判定なのか)によって適した方法が変わります。

※日本ヘリコバクター学会の解説にもとづく一般的な整理です。当院で実施している検査はをご覧ください。
検査内容と特徴
血液・尿中抗体検査ピロリ菌に対する抗体があるかを調べます。簡便ですが、除菌後も陽性が続くことがあります。
尿素呼気試験学会が「最も精度の高い検査法」とし、除菌前の感染診断と除菌後の判定に推奨しているとしています。
便中抗原検査精度の高い検査法で、現在感染しているかどうかがわかるとされています。
内視鏡での粘膜採取内視鏡検査の際に胃の粘膜を採取して調べます。鏡検法、迅速ウレアーゼ法、培養法があります。

院内で実施している検査機器の一覧は検査・設備のページでご案内しています。

除菌治療の保険適用と、一次除菌・二次除菌

保険で除菌治療を受けられる条件

日本ヘリコバクター学会は、2013年2月から、内視鏡検査で「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」と診断された場合に、保険を使ってピロリ菌の検査・治療を受けられるようになったと説明しています。言い換えると、保険で除菌を行うには、内視鏡検査による確認が前提になるという整理です。

保険適用の対象や要件は、制度改正により変更される場合があります。最新の情報は厚生労働省および日本ヘリコバクター学会の公表情報でご確認ください。ご自身が対象になるかどうかは、これまでの検査歴をお聞きしたうえで診察でご説明します。

一次除菌・二次除菌の進め方

学会の解説では、一次除菌は胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー)とアモキシシリン、クラリスロマイシンの3種類を朝夕2回、7日間服用する方法で、約70〜90%の方が除菌に成功するとされています。

一次除菌で成功しなかった場合は、抗菌薬を変更した二次除菌を行います。こちらも3種類の薬を朝夕2回、7日間服用し、約80〜90%の方が成功するとされています。服薬を自己判断で途中でやめると成功率が下がるため、決められた期間を飲みきることが大切です。除菌後は、一定の期間をおいて成功したかどうかを確認する検査を行います。

除菌後も内視鏡検査を続ける理由

日本ヘリコバクター学会は、除菌によって新たに胃がんが見つかる頻度は3分の1に減少するとしています。そのうえで「除菌によって完全に胃がんは抑制できません。除菌が成功したあとでも、胃がんが発見されることがあります」と述べ、定期的に胃の内視鏡検査を受けるよう呼びかけています。

感染が長く続いた胃の粘膜には、除菌後も変化が残ることがあります。次に検査を受ける時期は、除菌前の粘膜の状態、年齢、ご家族の病歴などによって変わります。当院では検査結果をご説明する際に、次回の目安時期をあわせてお伝えしています。

なお、市町村が行う胃がん検診は、厚生労働省の指針では対象が50歳以上、間隔は2年に1回(胃部エックス線検査については当分の間、40歳以上・年1回も可)とされ、内容は問診に加えて胃部エックス線検査または胃内視鏡検査です。検診の対象年齢や間隔は制度改正により変更される場合があります。除菌後の経過観察は検診とは目的が異なりますので、分けて考えてください。当院で受けられる健康診断は健康診断のページでご案内しています。

当院での検査・除菌のご案内

当院では、日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医が、胃内視鏡検査(極細径ファイバー)を担当しています。診察で症状・これまでの検査歴・服用中のお薬をお聞きしたうえで、どの検査から進めるとよいかをご提案します。お薬手帳と、健診結果をお持ちの方はその結果をご持参ください。

診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。検査の詳しい流れは胃腸科・内視鏡のページをご覧ください。

参考文献

いずれも本記事執筆時点で公表されている内容にもとづいています。ガイドラインや制度は改訂されることがありますので、最新の情報は各機関の公表資料でご確認ください。


この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療の代わりになるものではなく、個々の症状・体質・服用中のお薬による判断は診察が必要です。気になる点があれば、記事の内容だけでご自身の状態を判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。胃や大腸の検査については胃腸科・内視鏡のページ、健診の結果でご相談の場合は健康診断のページもあわせてご覧ください。

院長 杉浦 敏昭
Supervisor 監修:院長 杉浦 敏昭

医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。

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