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消化器・胃腸

胸やけ・げっぷが続く。逆流性食道炎

公開日: 更新日: 監修:院長 杉浦 敏昭
食後に胸元をおさえる仕草/首から下のみ・顔は写さない
写真はイメージです。実装時は具体的な alt テキストを付与します。

「食後に胸のあたりが焼けるような感じがする」「酸っぱいものが上がってくる」「げっぷが増えた」。こうした症状が続くとき、胃酸が食道へ逆流していることが関わっている場合があります。ここでは、胃食道逆流症(GERD)と逆流性食道炎の考え方を、日本消化器病学会の患者向けガイドにもとづいて整理します。

まず結論:市販薬で様子を見続けないこと

胸やけや呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じ)は、生活の見直しと薬で改善が期待できる症状です。一方で、同じような症状は食道がんや胃・十二指腸潰瘍などでも起こりえます。日本消化器病学会の患者向けガイドは、診断に内視鏡検査は必須ではないとしつつ、ほかの病気ではないことを確認するためにも、なるべく検査を受けることが望ましいとしています。

  • 症状が数週間以上続く、市販薬をやめると戻る場合は一度ご相談ください
  • 飲み込みにくさ、体重減少、黒い便がある場合は、早めの受診をおすすめします

逆流性食道炎と胃食道逆流症(GERD)の違い

患者向けガイドでは、胃食道逆流症(GERD)を「主に胃のなかの酸が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたりする病気」と説明しています。日本の成人の10〜20%がこの病気にかかっていると推測されるとも述べられています。

GERDは、大きく次の3つのタイプに分けて整理されます。「逆流性食道炎」は、このうち食道の粘膜に炎症(ただれ)がある状態を指す呼び方です。

  • 非びらん性逆流症(NERD)/食道炎がなく、自覚症状のみがあるタイプ
  • 症状のある逆流性食道炎/食道炎と自覚症状の両方があるタイプ
  • 症状のない逆流性食道炎/自覚症状はなく、食道炎のみがあるタイプ

つまり、症状の強さと粘膜の荒れの程度は必ずしも一致しません。「症状が軽いから炎症も軽い」とは言えず、逆に「内視鏡で炎症がないから症状は気のせい」でもありません。

どんな症状が当てはまるか

代表的な症状は、胸やけ(みぞおちの上の焼けるような、しみるような感じ)と呑酸です。ガイドではこれに加えて、胸痛、のどの違和感、慢性の咳が挙げられています。のどの症状や咳だけが目立ち、胃の症状として自覚されないこともあります。

咳が長く続く場合は、ほかの原因も含めて考える必要があります(内科のページ)。

起こりやすい背景と、生活の中の要因

胃と食道のつなぎ目がゆるむと、逆流を防ぐはたらきが弱まります。つなぎ目が上にせり上がる食道裂孔ヘルニアがあると、逆流が起こりやすくなるとされています。

ガイドでは、生活面と食事面の危険因子として次のものが挙げられています。

  • 生活面/腹部の締め付け、重い物を持つ、前かがみの姿勢、右を下にして寝る、肥満、喫煙
  • 食事面/食べ過ぎ、就寝前の食事、高脂肪食、甘いもの、アルコール、チョコレート、コーヒー、炭酸飲料、柑橘類

このうちガイドが改善効果が高いとしているのは、肥満の解消(体重減少)と、上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)です。当てはまるものから順に見直してみてください。

診断の考え方と内視鏡検査の位置づけ

ガイドでは、自覚症状と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により診断するとされています。症状の評価には、記入式の専用の問診票(Fスケール)が用いられることがあります。

内視鏡検査は診断に必須ではないとされる一方で、食道がんや消化性潰瘍などのほかの病気ではないことを確認するためにも、なるべく受けることが望ましいとされています。当院では、日本消化器内視鏡学会 専門医が極細径ファイバーによる胃内視鏡検査を担当しています。検査の流れは胃腸科・内視鏡のページ、院内の検査機器は検査・設備のページをご覧ください。

治療の考え方

生活習慣で見直せること

治療はまず、前の章で挙げた危険因子を避けることと、体重の減量、頭側挙上から始めます。ガイドでは、これらの改善をしても症状がよくならない場合には、お薬を併用するとよくなることが多いとされています。

薬による治療

ガイドで紹介されている主な薬の分類は次のとおりです。どれを使うか、どのくらい続けるかは、症状の内容と内視鏡の所見によって変わります。

※一般的な分類です。実際の処方は診察のうえで判断します。処方の取り扱いは診察時にご説明します。
分類位置づけ
プロトンポンプ阻害薬(PPI)酸分泌を抑える標準的なお薬
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)より強力に酸分泌を抑える
制酸薬・アルギン酸塩酸を中和したり刺激を弱める。効きめは20〜30分程度とされる
消化管運動改善薬・漢方薬酸分泌を抑える薬で効果が十分でない場合に併用される

ガイドでは、初期治療としてPPIまたはP-CABを4〜8週間程度使用し、症状が改善しない場合は量を増やす、PPIからP-CABへ変更するといった調整が示されています。重い食道炎の方は症状が改善しても薬を続けることが勧められる一方、症状が軽い場合には、症状が出た時点で飲み始めてよくなったら中止する「オンデマンド療法」が提案されることもあります。

自己判断で薬をやめる前にご相談ください

ガイドでは、重い食道炎の方が薬をやめることで、食道狭窄、バレット食道、食道腺がんなどにつながる可能性もあるとして、治療の継続が必要とされています。症状が落ち着いたからと自己判断で中止せず、続けるか減らすかは診察でご相談ください。

また、薬物治療で十分な改善がない場合や、大きな食道裂孔ヘルニアを伴う場合には、手術(噴門形成術)が検討されることもあります。

当院でのご相談・検査のご案内

当院では、日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医が、診察から胃内視鏡検査、その後の経過観察までを担当しています。検査を受けるかどうかを決めていない段階のご相談でも構いません。症状とこれまでの検査歴をお聞きしたうえで、まず何から確認するとよいかをご提案します。

診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。

参考文献

いずれも本記事執筆時点で公表されている内容にもとづいています。ガイドラインや制度は改訂されることがありますので、最新の情報は各機関の公表資料でご確認ください。


この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療の代わりになるものではなく、個々の症状・体質・服用中のお薬による判断は診察が必要です。気になる点があれば、記事の内容だけでご自身の状態を判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。胃・食道の検査については胃腸科・内視鏡のページ、生活習慣病で通院中の方は内科のページもあわせてご覧ください。

院長 杉浦 敏昭
Supervisor 監修:院長 杉浦 敏昭

医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。

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