大腸がん検診の便潜血検査。陽性と言われたら
大腸がん検診の結果に「便潜血検査 陽性」「要精密検査」と書かれていると、不安になるものです。一方で、痔があるから、体調が悪かったからと考えて、そのままにしてしまう方もいらっしゃいます。ここでは、陽性という結果が何を意味するのか、次に何をすればよいのかを、厚生労働省の指針と国立がん研究センターの情報にもとづいて整理します。
まず結論:陽性は「精密検査が必要」のお知らせ
便潜血検査が陽性であることは、がんの診断ではありません。国立がん研究センターは、要精密検査と判定されたからといって必ずしもがんであるわけではなく、実際にがんと診断されるのはごくわずかであるとしています。そのうえで、もしがんがあった場合には診断が遅れてしまうため、必ず精密検査を受けることを強く呼びかけています。
- 陽性=がん、ではありません。落ち着いて次の検査に進んでください
- ただし「様子を見る」「次回の検診を待つ」は避けてください
- 便潜血検査をもう一度受けることは、精密検査の代わりになりません
便潜血検査は何を調べているのか
便潜血検査は、便に混じった目に見えない血液を検出する検査です。国立がん研究センターは、2日分の便を採取して調べると説明しています。大腸のポリープやがんから出血があると、便に微量の血液が混じることがあり、それを手がかりにします。
国立がん研究センターの「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版では、便潜血検査免疫法は推奨グレードAとされ、大腸がんを検出する感度は84%、特異度は92%と示されています。つまり、精度の高い検査ではあるものの、100%ではありません。この点はあとの章であらためて触れます。
対象年齢と受診間隔(国の指針)
厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では、市町村が行う大腸がん検診について次のように定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検査項目 | 問診及び便潜血検査(免疫便潜血検査2日法) |
| 対象者 | 40歳以上の者 |
| 受診間隔 | 原則として同一人について年1回 |
国立がん研究センターも、大腸がん検診は40歳から1年に1度定期的に受診するよう案内しています。なお同センターの2024年度版ガイドラインでは、検診対象として40歳から74歳が推奨され、45歳または50歳開始も許容、検診間隔は1年から2年にすることも可能とされています。市町村の実施内容は指針にもとづきますので、ご自身の対象範囲はお住まいの自治体の案内でご確認ください。当院で受けられる健康診断は健康診断のページでご案内しています。
陽性と言われたあとの流れ
国立がん研究センターは、1日分でも便潜血検査陽性となったら精密検査を受ける必要があるとしています。精密検査として一般的なのは、全大腸内視鏡検査、大腸内視鏡検査と大腸のX線検査の併用法、または大腸CT検査です。
次のような対応は避けてください
もう一度便潜血検査を受け直す/国立がん研究センターは「便潜血検査をもう一度受けることは精密検査の代わりになりません」としています。2回目が陰性でも、精密検査が不要になるわけではありません。
痔があるからと考えて済ませる/痔があっても、大腸に別の原因が隠れている可能性は残ります。大腸全体を確認することが大切です。
次回の検診を待つ/国立がん研究センターは「次回の検診を待つのではなく、すぐに医療機関を受診しましょう」「自己判断をせずに、必ず精密検査を受けましょう」としています。
当院では、日本消化器内視鏡学会 専門医が大腸内視鏡検査を担当しています。検査は予約制で、前処置(腸管洗浄液の服用)が必要です。流れは胃腸科・内視鏡のページでご案内しています。検診結果とお薬手帳をご持参ください。
陰性でも症状があるときは
便潜血検査の感度は84%とされており、大腸がんがあっても陰性となることがあります。したがって、陰性という結果は「大腸に病気がない」ことを保証するものではありません。次のような症状がある場合は、検診結果にかかわらずご相談ください。
- 便に血が混じる、排便時に出血する
- 便が細くなった、残便感がある
- 便秘と下痢を繰り返す、急に排便の習慣が変わった
- 原因のはっきりしない貧血を指摘された
- おなかの張りや繰り返す腹痛が続く
便通の変化については便秘。市販薬に頼る前に見直したいことでも整理しています。
検診の限界も知っておく
国立がん研究センターは、がん検診の不利益として偽陰性、偽陽性、過剰診断、偶発症を挙げ、偽陽性をゼロにすることはできないと説明しています。検診は、集団として死亡率を下げる効果が確かめられた方法を選んで行うものであり、一人ひとりについて100%の判定を返すものではありません。
だからこそ、陽性と言われたときに精密検査を受けること、陰性でも症状があるときは受診することの両方が大切になります。院内で実施している検査は検査・設備のページでご案内しています。
当院での精密検査のご案内
当院は地域のかかりつけ医として、内科・小児科・胃腸科を診療しています。まず診察で症状・これまでの検査歴・服用中のお薬を確認し、検査の内容をご説明したうえで検査日をお決めします。血液を固まりにくくするお薬を服用中の方は、必ず事前にお申し出ください。生活習慣病で通院中の方は内科のページもご覧ください。
診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。ご予約はお電話でも承ります。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html - 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(令和6年2月14日一部改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001471911.pdf - 国立がん研究センター がん情報サービス「がん検診について」
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr01.html - 国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版 公開(プレスリリース)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/1127/index.html
いずれも本記事執筆時点で公表されている内容にもとづいています。ガイドラインや制度は改訂されることがありますので、最新の情報は各機関の公表資料でご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療の代わりになるものではなく、個々の症状・体質・服用中のお薬による判断は診察が必要です。気になる点があれば、記事の内容だけでご自身の状態を判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。大腸内視鏡検査については胃腸科・内視鏡のページ、当院で受けられる健康診断は健康診断のページをご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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