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季節の健康情報

夏にはやる子どもの感染症。手足口病・咽頭結膜熱

公開日: 更新日: 監修:院長 杉浦 敏昭
夏の園庭に置かれた水遊び用のたらいと麦わら帽子、タオル
写真はイメージです。実装時は具体的な alt テキストを付与します。

夏になると、保育園や幼稚園から「流行しています」というお知らせが届きます。名前は違っても、多くは自然に回復していく病気です。それぞれの特徴と家庭で気をつけたいことを整理します。

まず結論:3つの病気と、共通する家庭でのケア

夏に流行しやすい代表が、手足口病・咽頭結膜熱(プール熱)・ヘルパンギーナです。いずれもウイルスによる病気で、特異的な治療法はなく対症療法が中心とされています。ケアは共通しています。

  1. 水分をとる。刺激の少ないものから少量ずつ
  2. 食べられるものを食べる。熱いもの、酸味・塩味の強いものは痛みが出やすくなります
  3. 手洗いとタオルの共用を避ける。家庭内での広がりを抑える基本です

国立健康危機管理研究機構の解説は、手足口病の治療について「抗生剤の投与は意味がなく」、水分補給が最も重要としています。口の痛みで飲めなくなると脱水につながるため、こどもの脱水を見逃さないもご覧ください。

手足口病

原因は、コクサッキーウイルスA16(CA16)、CA6、エンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスです。潜伏期は3〜5日で、口腔粘膜、手のひら、足の裏や足の甲などに2〜3mmの水疱性発疹が出ます。

発疹は通常3〜7日の経過で消え、かさぶた(痂皮)にはなりません。発熱は約3分の1にみられますが軽度で、38℃以下のことがほとんどとされています。夏に流行し、患者は2歳以下が半数を占めます。感染は主に飛沫感染で、便に出たウイルスによる経口感染もありえます。

症状が治まったあとに知っておきたいこと

1つは、ウイルスが便に出続けることです。同解説は、症状が消えた患者も2〜4週間にわたり感染源になりうるとしています。おむつ交換やトイレの後の手洗いは、症状が治まったあとも続けてください。

もう1つは爪です。CA6による手足口病では、発症の数週間後に爪が脱落する症例が報告されています。

咽頭結膜熱(プール熱)

原因はアデノウイルスで、多くは3型ですが、4型、7型、2型、11型などによる場合もあります。潜伏期は5〜7日とされています。

発熱で始まり、頭痛、食欲不振、全身のだるさに加えて、咽頭痛、結膜の充血、眼の痛み、まぶしさ、涙、目やにが現れます。首の後ろのリンパ節が腫れて痛むこともあります。これらの症状は3〜5日間程度持続し、眼の症状は一般に片方から始まり、その後もう一方にも出ます。

通常は夏に流行し、6月頃から増えて7〜8月にピークを迎えます。年齢は5歳以下が約6割です。感染経路は飛沫感染と手指を介した接触感染で、プールでの感染も報告されています。

ヘルパンギーナ

原因はエンテロウイルス属のウイルスで、主にコクサッキーウイルスA群によることが多いとされています。潜伏期は2〜4日とされています。

突然の38〜40℃の発熱が1〜3日続き、口の奥(口蓋から口蓋帆にかけて)に1〜5mmの小さな水疱と、それが破れた小潰瘍ができます。発熱は2〜4日程度で下がり、やや遅れて口の中の症状も消えていきます。

流行は毎年5月頃から増え始め、7月頃にピークとなります。患者の年齢は5歳以下が全体の90%以上を占め、1歳代がもっとも多いとされています。回復後も2〜4週間にわたり便からウイルスが検出されることがあります。

3つのうちで熱がもっとも高くなりやすい病気ですが、熱の高さと病気の重さは同じではありません。見方はこどもが発熱したときで整理しています。

園や学校を休む期間の考え方

この3つは扱いが同じではありません。学校保健安全法施行規則では、咽頭結膜熱は第二種の感染症とされ、出席停止の基準は「主要症状が消退した後二日を経過するまで」と定められています。

一方、手足口病とヘルパンギーナは第三種の「その他の感染症」として扱われます。この区分には一律の期間基準がなく、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」とされています。文部科学省の解説に基づく資料も、り患したとしても直ちに出席停止の対象になるということではないと明記しています。

ただし、実際に何日休むかは園・学校や自治体の運用によって異なります。本記事は一般的な考え方であり、園・学校の指示が優先されます。制度や基準が改正される場合もあります。

登園届と意見書

保育所については、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」が次のように示しています。

  • 咽頭結膜熱:医師が記入する意見書の対象。めやすは「発熱、充血等の主な症状が消失した後2日経過していること」
  • 手足口病:保護者が記入する登園届の対象。めやすは「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」
  • ヘルパンギーナ:同じく登園届の対象。めやすは手足口病と同じ内容です

同ガイドラインは、「意見書及び登園届については、一律に作成・提出が必要となるものではありません」としています。書類の要否や様式は園によって異なりますので、まず園にご確認ください。

受診をお急ぎいただきたいサイン

大部分は軽い経過をとりますが、まれに合併症が起こります。手足口病では、国立健康危機管理研究機構の解説がまれに幼児を中心とした髄膜炎、小脳失調症、急性弛緩性麻痺、脳炎などの中枢神経系合併症を挙げ、EV71による場合は注意が必要としています。厚生労働省は心筋炎、神経原性肺水腫にも、ヘルパンギーナの解説はまれな無菌性髄膜炎、急性心筋炎にも触れています。

次のようなときは、時間帯にかかわらず受診をご検討ください

  • ぐったりして反応が乏しい、意識の様子がおかしい
  • けいれんがあった
  • 強い頭痛、繰り返す嘔吐(髄膜炎などを疑うサインです)
  • 呼吸が速い、苦しそう、顔色や唇の色が悪い
  • 手足に力が入らない、歩き方や体の動きがふらつく
  • 口の痛みで水分がとれない、半日以上おしっこが出ていない
  • 高い熱が数日以上続く、いったん下がった熱がまた上がって全身の様子も悪い
これらは頻度の高いものではありません。多くのお子さまは数日で回復します。ただし、当てはまるときは早めの受診が大切です。判断に迷うときは、厚生労働省の子ども医療電話相談事業(#8000)もご利用いただけます。全国共通の短縮番号で、お住まいの都道府県の相談窓口につながります。

当院でのご相談

当院は小児科を診療科目としており、夏の発熱や発疹、のどの痛み、目の症状のご相談に対応しています。診察では、のどと口の中、皮膚、目の様子を確認し、必要に応じて迅速診断検査を行います。園や学校で流行している病気の名前がわかっていれば、あわせてお伝えください。詳しくはお電話でお問い合わせください。

この3つの病気には有効なワクチンがありませんが、定期接種で防げる病気は別にあります。接種の全体像は予防接種のページとこどもの予防接種スケジュールをご覧ください。

診療時間は午前9:00〜11:30(水曜・土曜は9:00〜12:30)、午後14:00〜17:30で、水曜午後・土曜午後・日曜・祝日は休診です。小児科のページもご覧ください。

参考文献

本文中のウイルス名・潜伏期・症状の経過・出席停止および登園のめやすは上記資料の公表内容に基づいています(2026年7月時点)。法令・ガイドラインは改正される場合があり、また運用は園・学校および自治体により異なります。最新の情報は各機関の公表資料と、通っている園・学校の指示でご確認ください。


この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や必要な検査、登園・登校の判断は一人ひとり異なり、診察が必要です。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。発熱時の対応はこどもが発熱したとき、家庭でできること、けいれんが起きたときは熱性けいれんが起きたとき、どうすればよいかもあわせてご覧ください。

院長 杉浦 敏昭
Supervisor 監修:院長 杉浦 敏昭

医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。

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