麻しん・風しん。大人の抗体と追加接種
麻しん(はしか)と風しんは、こどもの病気という印象があるかもしれません。ただ実際には大人が発症することもあり、生まれた年代によって受けている予防接種の回数が異なります。ここでは、大人が自分の接種歴と抗体をどう確かめればよいのかを整理します。
まず結論:母子健康手帳で「2回の接種」を確かめる
大人の麻しん・風しん対策で最初にすることは、母子健康手帳や接種済証で、これまでの接種回数を確かめることです。麻しんワクチンの免疫獲得率は1回接種で93〜95%以上、2回接種で97〜99%以上とされています。記録の上で2回の接種が確認できる方は、あらためて追加接種を検討する必要は一般に高くありません。
- 記録が2回ある:ひとまず確認できたと考えてよい
- 記録が1回、または記録が見つからない:抗体検査または接種を検討する
- 妊娠を希望している:接種の時期に注意が必要(後述します)
制度に関する注意
予防接種の対象年齢・回数・公費負担の仕組みは、制度改正により変更される場合があります。事業の実施状況も変わりうるため、最新の情報は厚生労働省または土浦市でご確認ください。麻しんと風しんは、どのような病気か
麻しん(はしか)
潜伏期は10〜12日間です。38℃前後の発熱、せき、鼻水、目の充血といった症状で始まり、この時期が2〜4日ほど続きます。いったん熱が下がりかけたあとに再び高熱となり、耳の後ろや首、額から発疹が出てきます。感染経路は空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染で、感染力は極めて強いとされています。合併症としては肺炎が6%、中耳炎が約7%にみられ、脳炎は1,000例に0.5〜1例の割合で合併すると報告されています。
風しん
潜伏期は2〜3週間(平均16〜18日)で、発疹、発熱、リンパ節の腫れが主な症状です。症状が軽く済むこともありますが、注意が必要なのは妊娠中の感染です。妊娠初期に風しんにかかると、難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群をもって赤ちゃんが生まれる可能性が高くなります。厚生労働省は、妊娠20週以前の感染でその可能性が高くなるとしています。
世代によって接種歴が異なる理由
風しんの定期接種は、1977年8月から1995年3月までは中学校等の女子のみが対象でした。1995年4月に対象が男女の幼児へと変更され、あわせて1995年4月から2003年9月までは中学生男女への時限措置が行われました。1回接種から2回接種(第1期・第2期)に変わったのは2006年4月です。つまりいつ生まれたかで、受けた回数と受け方が違います。記録を確かめる意味はここにあります。
現在の定期接種は、第1期が1歳の1年間、第2期が5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間です。お子さまの接種スケジュール全体は予防接種のページでご案内しています。
風しんの追加的対策は2025年3月31日で終了
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性を対象に、抗体検査と予防接種を原則無料で受けられる「風しんの追加的対策」が行われていました。この事業は2025年3月31日をもって終了しています。該当する年代でまだ確認をしていない方は、通常の診療のなかで抗体検査を受けるか、任意接種を検討することになります。
抗体検査と追加接種の考え方
抗体検査は採血で行います。結果の読み方には基準があり、たとえば妊娠を希望する女性については、風しんのHI抗体価が16以下の場合に予防接種が必要とされています。一方で、接種歴が確認できない方が抗体検査を経ずに接種するという考え方もあります。どちらを選ぶかは年代や状況によって異なりますので、記録をお持ちのうえ診察でご相談ください。
妊娠を希望する方とご家族へ
麻しん風しん混合(MR)ワクチンは生ワクチンです。そのため妊娠していることが明らかな方は接種を受けられません。妊娠出産年齢の女性については、あらかじめ1か月程度避妊したうえで接種し、接種後2か月程度は妊娠を避けるという注意が示されています。妊娠してから免疫をつけることはできないため、ご本人だけでなく同居のご家族が免疫をもっておくことが、結果として妊婦さんを守ることにつながります。
当院での予防接種のご案内
当院では各種予防接種に対応しています。任意接種の費用を掲載する際は、内容と想定される副反応・リスクをあわせてご説明します。接種当日に明らかな発熱がある場合や、重い急性の病気にかかっている場合は見合わせます。
発熱や発疹があるときのご相談は内科、おなかの症状は胃腸科・内視鏡で承っています。院内で行っている検査は検査・設備のページ、健康診断とあわせてのご相談は健康診断のページをご覧ください。
参考文献
- 厚生労働省「MRワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/mr/index.html - 厚生労働省「風しんの追加的対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html - 厚生労働省「風しんに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella_qa.html - 厚生労働省「麻しん(はしか)に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles_qa.htm - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「麻しん(詳細版)」
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/measles/detail/index.html - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「風疹Q&A(2018年1月30日改訂)」
https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/rubella/faq/20180130/index.html - 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「風しんの定期接種制度の変遷について」
https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/9037-474r02.html
※本文の数値・制度の記載は上記資料に基づきます。制度は改正されることがあります。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。個々の症状や体質、検査値の意味づけは診察が必要です。気になる点があれば、記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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