頭痛の種類を知る。片頭痛と緊張型頭痛
頭痛は誰にでもある症状ですが、「いつもの頭痛」と決めつけると対処の方向を間違えることがあります。頭痛は、頭痛そのものが病気である一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛など)と、他の病気が原因で起こる二次性頭痛に分けられます。代表的な二つのタイプの違いと、見過ごしたくないサインを整理します。
まず結論:先に「危険な頭痛」でないかを確かめる
頭痛の種類を考えるときは、まず二次性頭痛(他の病気が原因の頭痛)を疑う所見がないかを確認します。そのうえで、痛みの出方や伴う症状から一次性頭痛のタイプを整理していきます。
- 今までに経験したことのない激しい頭痛は、急いで対応すべき状態のことがあります
- いつもの頭痛と「明らかに違う」と感じたときは、その違いを言葉にして伝えてください
- タイプが違えば対応も変わります。市販薬を続ける前に一度整理することが役に立ちます
危険な頭痛を疑うサイン
次のような頭痛は、すぐに医療機関へ。ためらわず救急要請を
突然始まり、数秒から1分以内に最も強くなる激しい頭痛(雷鳴頭痛)/今までに経験したことのない激しい頭痛/発熱、首の硬さ、意識のもうろう、様子や言動の変化を伴う頭痛/手足や顔の麻痺、しびれ、言葉が出ない、ものが二重に見える、片方の目が見えないなどの神経症状を伴う頭痛/50歳を過ぎて初めて始まった頭痛/数週間以上かけて強さや頻度が増していく頭痛。
日本脳卒中協会は、脳卒中の症状として「経験したことのない激しい頭痛がする」を挙げ、脳卒中が疑われるときは救急車を呼ぶよう呼びかけています。素早い対応が命を守り、後遺症を減らします。夜間・休日は救急医療機関へご連絡ください。
上記に当てはまらない場合でも、頭痛の様子が変わったときや、吐き気で水分がとれないときは受診をご検討ください。
片頭痛の特徴
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の診断基準では、片頭痛の頭痛発作の持続時間は未治療または治療が無効の場合に4〜72時間とされています。そして頭痛について、次の4つの特徴のうち少なくとも2項目を満たすこととされています。
- 片側性(頭の片側に起こる)
- 拍動性(脈打つように痛む)
- 中等度〜重度の頭痛
- 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する
さらに、頭痛発作中に「悪心または嘔吐(あるいはその両方)」「光過敏および音過敏」のうち少なくとも1項目を満たすこととされています。明るい場所や音がつらく、暗く静かなところで休みたくなるのは、この光過敏・音過敏によるものです。
片頭痛の一部には「前兆」があります。MSDマニュアル プロフェッショナル版では、約25%の患者で発作に前兆を伴い、数分から1時間持続し、最も一般的なのは閃輝暗点などの視覚症状とされています。なお日本での有病率について、脳科学辞典が引用するSakai&Igarashiの調査では、片頭痛全体で8.4%と報告されています。
緊張型頭痛の特徴
緊張型頭痛は、頭全体が締めつけられるような頭痛です。MSDマニュアル プロフェッショナル版では、痛みは頭部全体に及び、後頭部または両側前頭部より発生し、締め付けられるような痛みで軽度から中等度、持続は30分から数日間に及びうると記載されています。
片頭痛との大きな違いは、身体活動、光、音、匂いで悪化することはなく、悪心および嘔吐を伴わない点です。痛みが重度である場合は診断を再考すべきとされています。
頻度による分類として、頭痛の日数が月15日未満であれば反復発作性、月15日以上であれば慢性型とされます。長時間同じ姿勢での作業、睡眠不足、続くストレスが関わることが多く、リラクゼーションやストレス管理法も対応の一つとされています。
見分け方の目安
| 項目 | 片頭痛 | 緊張型頭痛 |
|---|---|---|
| 痛む場所 | 片側性のことが多い | 頭部全体、後頭部や両側の前頭部 |
| 痛みの性質 | 拍動性(脈打つ) | 締めつけられるような痛み |
| 強さ | 中等度〜重度 | 軽度〜中等度 |
| 持続時間 | 4〜72時間(未治療・治療が無効の場合) | 30分から数日間 |
| 動くと | 歩行や階段昇降で悪化することがある | 身体活動で悪化することはない |
| 伴う症状 | 悪心・嘔吐、光過敏・音過敏 | 悪心・嘔吐は伴わない |
痛み止めの使い方に注意
頭痛薬を飲む回数が増えていく状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなることがあります。これを「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)」といいます。
国際頭痛分類第3版の診断基準は、「以前から頭痛疾患をもつ患者において、頭痛は1か月に15日以上存在する」「1種類以上の急性期または対症的頭痛治療薬を3か月を超えて定期的に乱用している」「ほかに最適なICHD-3の診断がない」とされています。
頭痛の気配がしたら早めに飲む、という習慣が続いている方は、一度飲んでいる日数を数えてみてください。
受診のときに役に立つ記録
いつから/どのくらいの頻度で/1回どのくらい続くか/どこがどう痛むか/吐き気や光のつらさがあるか/何をすると悪化・改善するか/飲んだ薬とその日数。カレンダーやスマートフォンのメモに「頭痛があった日」「薬を飲んだ日」を残しておくと、タイプの整理が進みやすくなります。血圧の記録がある方はあわせてお持ちください(健診で「血圧が高め」と言われたら)。
受診の目安と当院での対応
次のような場合は、一度ご相談ください。
- 市販の痛み止めを飲む日数が増えてきた
- 頭痛で仕事や家事、学校を休むことがある
- いつもの頭痛と様子が違う、痛む場所や性質が変わった
- 吐き気が強く、水分がとれない
参考文献
- 日本神経学会・日本頭痛学会『頭痛の診療ガイドライン2021』(日本神経学会 ガイドライン)
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/headache_medical_2021.html - 日本頭痛学会「頭痛ガイドライン」
https://www.jhsnet.net/guideline.html - 脳科学辞典「頭痛」(国際頭痛分類による片頭痛の診断基準、国内有病率の引用)
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%A0%AD%E7%97%9B - MSDマニュアル プロフェッショナル版「片頭痛」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A0%AD%E7%97%9B/%E7%89%87%E9%A0%AD%E7%97%9B - MSDマニュアル プロフェッショナル版「緊張型頭痛」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A0%AD%E7%97%9B/%E7%B7%8A%E5%BC%B5%E5%9E%8B%E9%A0%AD%E7%97%9B - 日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」
https://www.jsa-web.org/citizen/87.html - 国際頭痛分類第3版(ICHD-3)による薬剤の使用過多による頭痛の診断基準(沢井製薬「専門医が解説する『頭痛』のこと」による引用)
https://med.sawai.co.jp/headache/009.html
本文中の数値・分類は、上記の公表資料および学会ガイドラインに基づいて記載しています。ガイドラインおよび制度は改訂されます。最新の情報は各出典元でご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。診断や治療方針は、症状の内容やこれまでの病歴、服用中のお薬によって一人ひとり異なります。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。めまいを伴う場合はめまいの原因はひとつではないもあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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