こどもの便秘。放っておかないほうがよい理由
「うんちが何日も出ていない」「出るときに痛がって泣く」。こどもの便秘は、そのうち治るだろうと様子をみられがちです。ただ、放っておくと抜け出しにくい循環に入ることがあり、早い段階で手を打つほど立て直しやすいことが知られています。ご家庭で確認できることを整理します。
まず結論:早く手を打つほど立て直しやすい
小児のガイドラインでは、便秘は早期診断・早期治療によって予後を改善できると位置づけられています。一方で、4歳以下で便秘と診断されたお子さまの40%以上は、治療を受けても学齢期になっても便秘による症状が残ると報告されており、最初の受診年齢が2歳より年長であると予後が悪いことも示されています。
- 排便の日付と便の様子を1〜2週間メモする
- 「出た/出ない」だけでなく、硬さ・太さ・痛みの有無も記録する
- トイレを我慢している様子がないか観察する
- 迷う段階でご相談いただいて構わない
こどもの便秘は何を指すのか
ガイドラインでは、便秘を「便が滞った、または便がでにくい状態」、便秘症を「便秘による(身体)症状が表れ、診療や治療を必要とする場合」と定義しています。期間によって慢性と一過性、原因によって機能性と器質性に分けられます。多くのお子さまは、明らかな病気がない機能性の便秘です。
診療で用いられる基準では、次のような項目が挙げられています。複数が当てはまり、一定期間続く場合に便秘症と考えられます。
- 1週間に2回以下のトイレでの排便
- 少なくとも週に1回の便失禁
- 便を我慢する姿勢や、過度に便をためこんだ既往
- 痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往
- 直腸に大きな便のかたまりがある
- トイレが詰まるくらい大きな便が出た既往
排便回数の目安は年齢で変わる
「1日1回出ないと便秘」とは限りません。ガイドラインによると、生後1週の新生児では1日平均4回、生後3か月間では母乳栄養児が1日平均3回、人工乳栄養児が1日平均2回とされ、2歳までに1日1〜2回に減っていきます。回数だけでなく、硬さや排便時のつらさをあわせて見ることが大切です。
放っておかないほうがよい理由は「悪循環」
便秘が続きやすいのは、次のような循環ができてしまうためです。
- 便が結腸や直腸に長時間とどまると水分が吸収され、便が硬く・太くなる
- 排便時に痛みや出血が起こる
- 痛い経験から排便を避けるようになる
- 便がさらに長くとどまり、硬く・太くなって便秘が悪化する
さらに、常に便のかたまりがたまった状態が続くと直腸が拡張し、便意そのものを感じにくくなることがあります。こうなると「気づかないうちに漏れる」「トイレに行きたがらない」といった状態につながります。一度治療で落ち着いても、成人期までの累積再発率は7年で40%と報告されており、長い目で付き合う視点も必要です。
便秘になりやすい3つの時期
ガイドラインは、便秘が起こりやすい時期として次の3つを挙げています。発症のピークは、トイレットトレーニングの時期にあたる2〜4歳とされています。
| 時期 | きっかけになりやすいこと |
|---|---|
| 乳児期 | 母乳から人工乳への移行、離乳食の開始 |
| 幼児期 | トイレットトレーニング |
| 学童期 | 通学の開始、学校での排泄を避けること |
いずれも生活が変わる時期です。「学校のトイレでは出したくない」という気持ちは自然なものですが、我慢が続くと悪循環の入り口になります。責めずに、家で落ち着いて出せる時間をつくることが先です。
家庭で見直せること
治療は、必要な場合にたまった便を出す処置を行い、そのうえで生活と排便習慣の改善、食事の工夫、必要に応じた薬による維持療法を組み合わせて進められます。ここではご家庭でできることを取り上げます。薬の種類や量は年齢・体重・状態によって異なるため、本記事では扱いません。市販薬を続けて使う前に、一度ご相談ください。
排便の習慣とトイレの姿勢
一般に勧められている工夫として、食後に時間を決めてトイレに座る習慣をつけること、足がぶらつかないよう踏み台を置いて足の裏を支えること、いきみやすい前傾の姿勢をとりやすくすることが挙げられます。出なくても座れたらそれでよし、という声かけにすると続きやすくなります。排便の記録をつけると、受診時の判断材料になります。
食事と水分
水分と食物繊維をとることは、一般的な生活指導として勧められています。野菜・果物・いも類・豆類などを食事に組み込み、水分は少量ずつとるようにします。ただし食事の工夫だけで解決しないことも珍しくありません。長引く場合は、食事だけで頑張り続けず受診をご検討ください。
受診の目安と、当院での対応
次のような場合は、便秘以外の原因も含めて確認が必要とされています。当てはまるときは早めにご相談ください。
受診をご検討いただきたいサイン
- 生まれてすぐの時期に、便(胎便)が出るまで24時間以上かかった
- 体重が増えない、体重が減っている
- 繰り返し吐く、強い腹痛が続く、おなかが張っている
- 血の混じった便が出る、排便時に出血する
- 便がもれる、下着が汚れる
- 排便のときに強く痛がる、我慢する姿勢をとる
- おしりの形や位置が気になる、背中やおしりの皮膚に気になる所見がある
- これまでの対応で改善しないまま長く続く
当院は小児科を診療科目としており、こどもの便秘のご相談に対応しています。診察ではおなかの状態を確認し、排便の記録をもとに生活と食事の見直し点をご説明します。
くわしくは小児科のページをご覧ください。おとなの便秘や腹部の症状は内科のページ、胃腸科・内視鏡のページ、初めての方へもご覧ください。
参考文献
- 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」
https://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf - Mindsガイドラインライブラリ「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00226/
本文中の定義・数値・分類は上記資料の公表内容に基づいています(2026年7月時点)。ガイドラインは改訂される場合がありますので、最新の情報は学会の公表資料でご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。お子さまの状態は年齢や成育の経過によって異なり、薬の選択や量は診察のうえで判断します。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。急な体調の変化については熱性けいれんが起きたとき、どうすればよいか、咳や呼吸の症状はRSウイルス感染症。赤ちゃんの咳と呼吸に注意もあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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