帯状疱疹ワクチン。2種類のワクチンの違い
帯状疱疹のワクチンには、性質の異なる2種類があります。回数も接種方法も、効果の続き方も違うため、「どちらを選ぶか」で迷われる方が少なくありません。厚生労働省が公表している説明資料をもとに、両者の違いを整理します。
まず結論:1回の生ワクチンか、2回の組換えワクチンか
大きな違いは次の3点です。接種回数(1回か2回か)、接種方法(皮下注射か筋肉内注射か)、効果の持続と副反応の出方です。免疫の機能が低下している方は生ワクチンを接種できないため、選択の余地がない場合もあります。
制度改正についてのご注意
制度改正により、対象・回数・費用が変更される場合があります。本記事は2026年7月時点で公表されている内容に基づく整理です。経過措置には期限が定められています。対象かどうか、自己負担額がいくらかは、土浦市の案内と医療機関でご確認ください。帯状疱疹とはどのような病気か
厚生労働省の説明書によると、帯状疱疹は過去に水痘(みずぼうそう)にかかったときに体の中に潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することにより、神経に沿って、痛みを伴う水疱が現れる皮膚の病気です。多くは体の片側に帯状に症状が出ます。
注意したいのが、皮膚が治ったあとに残る痛みです。同資料は、皮膚の症状が治った後にも痛みが残ることがあり、日常生活に支障をきたすこともある(帯状疱疹後神経痛)と説明しています。また発症する年齢については、70歳代で発症する方が最も多いとされています。痛みや皮疹が出た場合は、ワクチンの有無にかかわらず早めにご相談ください。
定期接種の対象と経過措置
帯状疱疹ワクチンは、予防接種法に基づく定期接種として実施されています。厚生労働省の案内では、対象は次のとおりです。
- 年度内に65歳を迎える方
- 60〜64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
- 経過措置として、2025年度から5年間にかぎり、その年度に70・75・80・85・90・95・100歳になる方(100歳以上の方全員が対象となるのは2025年度限り)
経過措置は5年間の期限付きです。該当する年齢は年度ごとに変わりますので、届いた通知をご確認ください。
2種類のワクチンの違い
| 項目 | 生ワクチン | 組換えワクチン |
|---|---|---|
| 接種回数 | 1回 | 2回 |
| 接種方法 | 皮下注射 | 筋肉内注射 |
| 接種間隔 | — | 2か月以上あけて2回 |
| 免疫が低下している方 | 接種できません | 免疫の状態に関わらず接種可能 |
組換えワクチンは2回の接種が必要で、2か月以上の間隔をあけます。なお免疫が低下している方については、医師の判断で接種間隔を1か月まで短縮できるとされています。2回目を忘れないよう、1回目の時点で次回の予定を決めておくとよいでしょう。
予防効果とその持続
厚生労働省の説明書には、次のような数値が示されています。
- 生ワクチン:1年時点で6割程度、5年時点で4割程度
- 組換えワクチン:1年時点で9割以上、5年時点で9割程度、10年時点で7割程度
組換えワクチンのほうが効果が高く長く続くと示されている一方、2回の来院が必要で、後述のとおり接種後の反応も出やすい傾向があります。どちらが適しているかは、年齢、持病、免疫の状態、通院のしやすさをふまえて判断します。数値だけで決めず、診察の際にご相談ください。
副反応の傾向
同じ説明書に示されている主な副反応の発現割合は次のとおりです。生ワクチンでは10%以上にそう痒感(かゆみ)、熱感、腫脹、疼痛、硬結、1%以上に発疹、倦怠感がみられるとされています。組換えワクチンでは70%以上に疼痛、30%以上に発赤、筋肉痛、疲労、10%以上に頭痛、腫脹、悪寒、発熱、胃腸症状がみられるとされています。
いずれも多くは接種後しばらくして落ち着くとされていますが、まれに重いアレルギー反応(アナフィラキシー)などが報告されており、組換えワクチンではギラン・バレー症候群の報告もあります。接種後30分程度は安静にし、体調に変わったところがあれば速やかに医療機関へご連絡ください。接種当日の入浴は差し支えないとされていますが、激しい運動は控えるようご案内しています。
接種を受けられない方・注意が必要な方
厚生労働省の案内では、接種前に医師への相談が必要な方として、基礎疾患をお持ちの方、過去にアレルギー反応を起こしたことがある方、けいれんの既往がある方、免疫の機能が低下している方、輸血やガンマグロブリン療法を受けた方などが挙げられています。
とくに生ワクチンは、免疫が低下している方には接種できません。治療中の病気やお薬(免疫を抑える薬を含む)は、必ず問診票と診察でお伝えください。明らかな発熱があるときや、重い急性の病気にかかっているときは、その日の接種を見送ります。
費用・助成と、当院でのご相談
厚生労働省の案内では、ワクチンを接種できる医療機関や費用、申し込み方法などについてはお住まいの市町村にお問い合わせくださいとされています。
取り寄せが必要な場合がありますので、事前にお電話(029-862-4668)でご相談ください。くわしくは予防接種のページ、持病の管理や皮疹・痛みのご相談は内科のページ、はじめての方は初めての方へをご覧ください。
参考文献
- 厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html - 厚生労働省「帯状疱疹の予防接種についての説明書」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001601107.pdf - 厚生労働省「帯状疱疹ワクチンの定期接種を実施します。」(リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001601105.pdf - 厚生労働省 事務連絡(帯状疱疹の定期接種化について)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001396378.pdf - 土浦市「予防接種」
https://www.city.tsuchiura.lg.jp/kenko-fukushi-iryo/kenko-iryo/yobosesshu/
本文中の対象・回数・数値は上記資料の公表内容に基づいています(2026年7月時点)。制度は改正されうるため、最新の情報を必ずご確認ください。
この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。どちらのワクチンが適しているかは、持病や免疫の状態によって判断が変わります。記事の内容だけで判断せず、当院またはかかりつけの医療機関にご相談ください。もうひとつの定期接種については高齢者の肺炎球菌ワクチン。定期接種の対象と考え方、インフルエンザ予防接種、受けるベストな時期はいつ?もあわせてご覧ください。
医療法人 新治診療所 院長。日本消化器病学会 専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医。茨城県土浦市下坂田で、内科・小児科・胃腸科の診療にあたっています。わかりやすい説明を心がけ、地域のかかりつけ医として健康維持をお手伝いしています。
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